大前伶子のニューヨーク

児玉清さんのこと

数週間前、妹に「ねぇ、先週の日曜日”アタック２５”を偶然に観ていたら、司会の児玉清さんの痩せ方に驚いたのよ、あの人癌じゃない？」と口走った。妹が「おねえちゃまって平気で人を癌にするのねぇ」と呆れられたのですが・・・やっぱり普通じゃなかったのですね。たいていあの手の俳優は年を重ねるとどうしても「あく」がでてきますが、彼はその人柄か、ずっと上品なままだったように思います。めったにアタックを観ないのですが、笑われるのを覚悟で昔から「新婚さんいらっしゃい」が好きで家にいるとあの番組を観ていた。その後にアタックがあり、続けてみることが多かった。それにしても児玉清さんの最後頃、誰がみても調子悪そうでした。医者嫌いだったそうですが、奥さんも息子さんも気が付かなかったのでしょうか？彼が亡くなったと報道されて、すぐ妹に電話してしまいました。「ほらね、やっぱりでしょう？」と言ったら「おねえちゃまって占い師？」とからかわれました。「それどころじゃないわよ、おかぁちゃまピーコックで転んで顔と手を怪我して凄いことになっているわよ」とけん制を掛けられてしまいました。明日は見舞いを兼ねて築地で母の好きな「蟹」を買っていきましょう。

岸恵子さん

実家のある白楽は神奈川大学にほど近く、駅から続くマーケットが昔から有名でした。ご多分に漏れずこのマーケットも最近はシャッター通り化している。妹がよく「おねえちゃま、あの店また変わったわよ」というほど日替わり、週替わり、月替わりにテナントがかわっている。私は週末空いてる数少ない店に買い物にいくのだが、そのマーケットでよく女優の岸恵子さんにお会いする。相変わらず細い、でもオーラがあるので、すぐ「あ、岸恵子だ」とわかってしまう。細いマーケットですれ違うのだが、いつもステキな同じ男性と楽しそうにあるいている。別に手をつないでいるわけじゃないけど、それでも親しい！！人なんだなぁ、オフランス風にいうと「アマン」かしら。これが若い女優だったらスキャンダルになるのでしょうが、彼女くらい大御所になると「へぇ～～～いいわねぇ」になります。岸恵子さんは私が女学生のころから白楽の山に住んでいて、「君の名は」の頃を何度も見掛けていましたが、そのころは大きな外車に運転手つきの車で白楽の山から降りてきていました。細いので外車がやけに大きく見えました。岸恵子さんと草笛光子さんは横浜の県立高校出身で、今は平沼高校といいますが、凄く頭も良かったのですね。クラスでも一人か二人しか入れない難しい学校でした。そういえば草笛光子さんも私が出た捜真女学校の近くに住んでいて、当時指揮者だった芥川也寸志さんとほんの少し結婚していて、二人で歩いているのを何度も見かけました。すぐ離婚しましたが・・・岸恵子さんはフランスの監督イブ・シャンピと結婚しておフランスへ行ってしまいましたが、ご実家はそのまま白楽にあり、神奈川県知事公舎の前でした。あの辺はすごく良い住宅地で、五木弘之さんのお住まいもあるやに聞いています。白楽の主妹に聞くと何でもよく知っています。私は外様になってしまいましたが。

銀座教会

最近、特にあの地震後無性に教会に行きたくなってきた。私の生活で信仰というのはある時無縁であったり、気になるが、気にしない、という気持ちが習い性になっていた。年のせいでしょうか？それとも降りかかる天災や、親の年、自分の年を考えて、あの世との距離も縮まってきたのでしょうか。昨日の日曜日、牧師様のお話で洗礼を受ける人、他の教会から転会する方は７月２４日に銀座教会の建堂記念礼拝があるとのお知らせをお聞きした。今日牧師先生と面談して、私の母教会から籍を移すことを決心した。５０年ほど前に捜真教会で洗礼を受けていたので、その教会から移します。牧師先生も私が葬儀をしたいのだなぁと感じて下さったようで、「伶子さんが教会員になったらおかぁさまも出来ますよ」と。何だか嬉しくなりました。銀座大好き人間、このことが何となく心配でしたが。それにしても牧師先生は昭和１９年生まれだそうですから、お願いですからお元気でいてください。銀座教会は牧師先生の任期が長いのが特徴らしいです。私の祖母もここ銀座教会の三井勇牧師にお世話になりましたから、ご縁があるのです。

自由な日曜日

 
 この頃気持ちがざわざわしているので、時間が取れると日曜礼拝に出ます。１０時半から始まる礼拝の前に日劇で金曜日から公開された映画「ブラック・スワン」の前売りを買ってきた。礼拝はとても心落ち着く、讃美歌を歌っていても、週の初めにこうした時間が大事です。

話題の映画「ブラック・スワン」はニューヨーク・シティーバレエの主役を巡っての争い。このバレエシアターは毎年観に行っていたので、まさか、あそこまで過酷なことが行われていたのだろうか。「白鳥の湖」の白鳥と黒鳥の二役を演出家にすり寄って、妄想とホラー映画で最後は気持ち悪くなりました。私の隣の女の人は（知らない人）何度も手で目を覆って、うなっていました。そこまでシリアスな映画ですが、バレエ大好きな私はしっかり観ました。が可なりエグい映画でした。

映画が終わって有楽町の三省堂に立ち寄りました。大前の新刊がものすごく場所を取って売られていました。「大前さんは印税を放棄しました。印税を東日本の被災者への寄付」と下手な手書きで書いてありました。私が見ているとき一人手に取ってレジに向かいました。私は静かに「ありがとうございました」と頭を下げてしまいました。

平凡な土曜日のはずが・・・・

自宅から実家までちょうど１時間、この間が私の読書タイム。少し古くなったがリリー・フランキーの「東京タワー」の最後の５０ページほどを読むつもりで電車に乗りました。この最後の５０ページが泣かせる、泣かせる、日比谷線でハンカチを出してすすり泣いてしまって、思わず周りを見回したら、周りの人が「何事？？」という不安な顔で私を見ているではないか。恥ずかしほど泣いていたのです。読むのをやめてしまいました。

ところが・・・いつものように母がお昼寝中妹と銭湯に行って気持ちよく帰ってきて準備していたお鍋を缶ビールなど開けて楽しんだ。そこまでは何事もなく３人で楽しく夕食をとり、後片付けの時、何が何だかわからなかったが（私は週に一日しか行かないから）母と妹が言い合いをしている。よく聞くと本当にくだらないこと（私に言わせると）ゴミ袋を妹が決めたところから勝手に変更しているという。「おかぁちゃまは何でそんなことするのよ」「あら、私の家だから何をしてもいいじゃない」てな具合。そんな時私はその中に入らない。私も相当なおせっかいだから普通なら何とかいうのだが、この二人の仲は入らないことにしている。

親ってかって大きかった存在が年を取るにしたがって小さく感じる瞬間がある。私達３人の子供たちのために生きてくれた人。９３歳になった母が今糠づけを漬けている。お昼に食べたとき「おかぁちゃま、糠づけ美味しくなったわね」と言ったら、知らないうちに大根の糠漬けが１本私のハンドバックに入っていた。電車で「何か匂うなぁ」と思っていたが、まさか糠漬けを入れいてくれたとは。母が生きていることが普通になっている私たちは少し麻痺しているのでは？今日「東京タワー」を読んで、”ぼくの「オカン」が生きているとき「ありがとう」と言ったことがあるだろうか。小さなこと、大きなこと、毎日のことやこれまでのこと。その一つづつに言うべき感謝の言葉も、それはいつの間にか当たり前のことになっているのでは。これまで苦労させたことも、迷惑かけたことも、ほったらかしにしていたことも、ひとこと「ありがとう」も言えないまま終わるのではないか”というくだりがあるが、妹と普段仲良く暮らしている二人だが、ゴミ袋くらいで喧嘩することもなかろう。楽屋は黙って引き下がってきました。

アメ★ドリ東京ＮＹ交流会に初めて出席

 以前からお誘いを頂いていたのですが、何となく行くチャンスがなかったが、今回は幹事さんが数日前に我が家にいらして下さって、ＮＹの行方不明の方たちの消息を教えて頂き嬉しかったのでお礼に伺いました。昨今テレ朝の水曜日モーニングバードという番組でコメンテイターをしている神田瀧夢さんと天尾ヨシさんの漫談があるとのこと。これはどうでも良かったのだが、こういうイベントは日本では難しいですね。元々私は今のテレビのお笑い系は大嫌いだから見ない。英語でコントをやってもそう簡単に人は笑ってくれません。私は手品も嫌い、交流会をしているのに人の話を止めて自分だけ納得した面白くない手品はダメです。今のテレビはこのくだらないお笑い系が氾濫しているので、下品だと思います。まともな大人がプロデュースしているかと思うと悲しくなります。この交流会はいつの頃かＮＹに限らずアメリカに住んでいた人たちが集まっています。５０人ほどだったでしょうか。ＮＹはもっとたくさんの方が集まるそうです。

ところで、この会場が下北沢でした。何と私はこの土地が懐かしくて、少し早めに出かけて歩いてみました。というのは娘が小、中、高、大と２０年ほど通った玉川学園の父母会の帰りは決まってここ下北沢で降りて、夕飯の買い物をした街でした。お肉屋さんやお魚やさんのいいお店がありました。当時私たちは東横線学芸大学に住んでいて、彼女は東横線で渋谷、渋谷から井の頭線で下北沢、下北沢から小田急線で玉川学園まで、１時い間半ほどかけて通っていました。小学生の間は毎日私は渋谷の井の頭線の改札口まで迎えに行っていました。昨日久しぶりに井の頭線の渋谷駅に立ったらあまりの変化に驚きましたが、何だかとても懐かしく、彼女が手を振りながら私に近づいてきていたころを思い出し、何だか涙ぐんでしまいました。あんなに一生懸命送り迎えしたのに・・・今じゃ一人で大きくなったと思っているのじゃないか。親の感傷ですが。それにしても下北沢の駅の複雑さには閉口してしまいました。その上あの懐かしいい店は全部なくなっていて、どうでもいい、若者の安物の店ばかりでがっかりしました。下北沢って話題になる街のひとつですが、銀座に慣れた私はとてもじゃないけどパスです。

ねぇ、何で日本のメディアは年を書くのが好きなの？

 
今日映画界のドン「岡田茂」さんが亡くなってその葬儀の模様を報道していた。日本の名だたる俳優、女優が弔問にきていたが、その報道の仕方・・・気になりました。これは私が年を気にしているからなのでしょうが。みなさん喪服だし、派手なお化粧をしていないからなおさらなのでしょう。吉永小百合６６歳、松坂慶子５８歳、里見浩太郎７４歳、菅原文太７７歳・・・等々、私は自分の年を年中誤魔化すので、ここまでしっかり書かれる「怒ちゃう」　ただ、近々出版が決まっている講談社の私の本は、年齢がばっちり、誤魔化しなく書かれています。自分の年のくせに、「へぇ～～～」やめてよと言いたくなります。女優じゃないのだから年はファージーにしてもらいたいのですが、年をとっても「シンプルライフ」という趣旨のものです。出版の折はよろしくお願いいたします。

節電って何よ！

都知事の石原さんが４期目当選した時「自動販売機がここまでたくさんいらんだろう！」と怖い顔して言っていた。珍しく私も「そうよ、そうよ」と同調しました。自動販売機がずらりと並んでいる姿は異様です。以前マンションの管理組合の理事をしたとき、１階に置いてある自動販売機の電気使用量とその料金を聞いて驚いたことがあった。自動販売機が商売の人もいるでしょう。だけどあんな日向に真昼間どれだけ電気を使っているか？考えてみましょう。

私の嫌いなものの一つ、トイレのふたの自働開閉、用をたして立ち上がるとこれまた自動フラッシュ、冬の間便座が温かくなっているのは心地よいものだが、少し座っていると自分の体温で温かくなるじゃない。軽井沢の家がこの自働便座、掃除をしていても開いたり、閉まったり、うるさくって・・・ここまで電気を使って自動にしてしまうと「人間の動作が退化してしまいます」私の友人が我が家で「あれ？？トイレ流したかしら？」と戻って見に行っていた。普段自動で流れることが普通になっていると、従来のトイレを流していたか不安にかられると言っていた。トイレのフラッシュぐらい自分の手で流す、この当たり前の行動まで電気は奪ってしまったのだ。

さすがに最近流れないが、エコ、エコ、お年寄りはガスから電気の調理器にしましょう・・・ＴＥＰＣＯの宣伝はなくなりましたが、綺麗い、危なくない、と素敵な台所があっという間にあのコマーシャルがなくなりました。電気は便利ではありますが、今回のことを見ても、日本人は少し電気に頼りすぎたのです。ドアーの前に立つとドアーは開く、以前は改札口にお兄さんが立って切符を切っていたのが、今じゃカードをかざすだけ。もう一度言いますが、人間がダメになっていくのは電気のせいだと思います。最小限度・・・これから表参道の木々のライトアップなんて意味のないものはさっさと切り捨てましょう。今年のクリスマスのイルミネーションも多分節電なのでしょう。当たり前です。

 

テロとの戦い

オサマ・ビンラディンがアメリカ軍によって殺された、とのニュースが飛び込んできた。アメリカは勝利だと大騒ぎしているが、彼らはそんなに軟なグループではない。かえってその後の報復テロにおびえる日々ではないか。これは本気で言っているのではありませんが、アメリカの友人と話していたらオサマ・ビンラディンって顔がいいし、声もいい、説得力があるので、ステキという人もいるのですって。まるでイケメンを眺めるように。彼はお家がすごいお金持ちだったらしいし、奥さんも凄い何人もいたらしい。ああいう人を引き付ける人って、まず「声」なのですって。オウムの麻原彰晃もその声はまさしく宗教家にふさわしいと解説した方がいました。人の心にピタリと吸い付く声の持ち主は新興宗教の教祖さまにはぴったりらしい。９１１以降すっかり飛行機に乗るのが億劫になるほどのセキュリティーでしたが、これでまたもっと厳しくなるのでしょうね。

人気店「築地大和寿司」まで・・・

 
 
朝早く取材のために築地に行った。場内を回ったが、美味しそうな魚がたくさん。その後１号館から５号館まで愛さんを案内して歩きました。普段なら１時間待ちは当たり前の築地大和寿司をのぞいたら、何とすぐ入れるではありませんか。大将に「何で今の時間すぐ入れたのかしら？」と聞いたら、風評被害がすごいんだよ、とのこと。普段カウンターに外国人が半分はいるこの寿司や、何と一人もいませんでした。９時ごろすんなりカウンターに座れるなんてまず絶対にないことでした。今日はＢ級グルメの「豊ちゃん」へ行こうと思っていたのですが、思わず大和寿司で食べてしまいました。それにしても風評被害というのは予想以上のものなのですね。昨今焼肉屋さんのユッケが話題になっていて、原子力発電のニュースが後回しになってきましたが、２８０円の生肉なんて食べる方が恐ろしい。何処で買おうと、１００グラム２８０円なんて牛肉はひき肉でもよほど熱を入れないと食べることは躊躇されます。安かろう、悪かろう、てよく言ったものです。中華料理でさえ熱を通しているから大丈夫だとは思いますが、あまり安いのは考え物です。この頃どうしてこんな値段でレストランで出せるのだろうと不思議に思う店が増えました。いくら大量仕入れでも？？？がつく値段だと、まして生肉に生卵でしょう？しかも子供や年寄は気を付けなくては・・・・それにしても死者が４人も。大変なことです。私も店を経営していたので、自分の店から中毒を出したら絶対に生きのこれませんから。衛生面だけはうるさく板前に指示していました。ニュースで肉は問題がなかったとのことを言っていましたが、果たして生卵はどうだったのでしょうか？アメリカでは生卵を食べる習慣がないので、すき焼きの時も生卵を使いません。生卵に菌があるとまことしやかに言われていて、たいていの人は生卵なしですき焼きを食べます。日本ですき焼きに生卵はつきものですが・・・私は今回の事件は肉より生卵に原因があるのでは？と思っています。