週刊新潮で連載をスタートされた東大病院準教授中川恵一先生のコラム、新連載が始まって3回目。私は半年前に中川先生の講演を拝聴したので、毎回楽しみにしている(癌の話で楽しむというのは不謹慎だが)。フランスの哲学者パスカルは「人間は生まれながらの死刑囚である」と言っていると。生まれて死ななかった人間は一人もいない。私達の体の細胞は、周りの細胞たちと協調しながら、必要な役割を担い、何回か分裂しますが、一定の時間が経つと自然に死んでいきます。しかし、癌細胞は、自分を生み出した患者の体が必要とする栄養を横取りしながら、際限なく分裂を繰り返していきます。さらに癌の病巣が大きくなって住まいが手狭になると、血液の「大海原」に流れ込んで新天地をめざします。他の臓器にたどり着いて、新しい植民地を作るのが「転移」です。そして、最終的には患者から栄養をすべて奪い取り、死に追いやってしまいます。と、 こういうふうに分かりやすく癌の話を書いておられます。
ところで、さっきテレビを観ていたら、昔一世を風靡したファラ・フォーセットとライアン・オニールの話が出てきた。彼らは結婚はしていないが、二人の仲はずい分長いようだ。今、ファラ・フォーセット(62歳)が癌でそれに寄り添うライアン・オニールという報道だったが、ライアン・オニールの変わり様。「ある愛の詩」の印象しかなかったので、雪のセントラル・パークで「愛とは決して後悔しないこと」と言うシーン。なんとも現実的な今日の姿に勿論時代ですよ・・・でも観たくなかった。’68年にNYで観た初めての字幕なしの映画でした。行ったばかりで英語も充分理解できなかった時代、それでも大泣きしてしまいました。アーリー・マッグロウが死んでしまうが、何の病気かも分からず雰囲気を感じて泣いていたのですが、後から血液の癌白血病だったと分かりました。なんとも心もとない映画の見方でした。ライアン・オニール(68歳)何と私と同じ年代だったのですょ。いつまでもハーバード大学法学部、弁護士、なんて思う方が時代錯誤ですが、それだけ強烈な映画だったのです。何だか今日の画面、アメリカの田舎のおじさん風でした。がっかり。
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