46年間NYのランドマーク・ザ・プラザ・ホテルに勤務していたドアー・マン”トリンカさん”が退職したそうだ。日本のホテルは新人はドアー・マンからというのが多いが、アメリカのホテルはたいてい名物ドアー・マンがいる。おじいさんの時代から息子の代にいたるまで、家族中がトリンカさんに世話になったなんて普通だ。もう一つアルゴンキン・ホテルにも名物ドアーマンがいた。ドアーマンといってもホテルからの給料は微々たる物、たいていチップで生活している。タクシーを降りてチップのドル札を畳んで渡しても幾らもらったか即座に判るらしい。日本人はチップの生活に慣れていないから、このチップという制度に戸惑うが、何だか1ドルじゃ悪いと思うし、5ドルじゃあげすぎだと悩むところだ。トリンカさんは何度もお会いしているが、この場所は「私のテレトリーだ」と言わんとばかり、大きな体をいかめしいコートを着てタクシーを呼び寄せて取り仕切っていた。このホテルはドナルド・トランプが持っていて、イバナ夫人と離婚したとき、彼女に慰謝料として上げたと言われたもの。慰謝料があの立派なザ・プラザホテルというのも度量の大きさを示すが、その後人手に渡った。数年前から大改造してほとんどアパートに改装されたそうだが、まだいくらかホテルの部屋はあるらしい。プラザホテルからトリンカさんにスイート・ルームの宿泊のプレゼントがあったそうだが、彼に泊まり心地をきいてみたい。そう、離婚の際、慰謝料が高いか安いかはあのホテルを上げても離婚したい・・・ほどイバナ夫人が嫌われたのか、そう考えたら、女の値打ちは何処にあるのだろう。
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