大前伶子のニューヨーク

いつもの土曜日

先週母も妹も風邪をひいていて、来なくていい、との申し渡しで今日は何も言っていないので電話もしないで行ったら、まだ妹がゴホゴホ咳きをしているではないか。何だかうつされた感じ。早めにうがいをして寝よう。明日は一日予定を立てずにゆっくりしたほうがよさそうだ。何だか久しぶりに福富肉やのコロッケが食べたかったので、私が買いにいったら、おじさんが「また東京から来てね」と言ったので「母が生きている限り来るわよ」と「なぁにお宅のおかぁさん、まだまだ生きるよ」っておせいじのつもりだったのか、コロッケ３ヶ買ったのにまたメンチを一つオマケしてくれた。母が「あなたが行くとまけるのねぇ」と少しご不満のようでした。

ファン・ガジェゴ＝コインリサイタル

スペインの貴公子、ファン･ガジェゴ＝コインのリサイタルが昨夜池袋で開かれた。先週オペラとフラメンコと盛りだくさんだったので、彼だけのリサイタルは楽しみだった。まだ３１歳、グラナダ出身で作曲もこなす、ショパンはすばらしかった。５０人くらいの小さな会場で、今回は心行くまで楽しんだが、何処の国も音楽を生業とするのは大変だ。昨夜はスペインからお父様も弟さんもいらしていた。ファン・カジェコさんは来週安部首相の前で弾かれるそうだ。そのためにお父様が急遽いらしたというわけだ。終ってから池袋のセッチャンの息子さんが経営している”パスタ・マーニャ」で打ち上げ、夜中になってしまった。

右の写真は２９日に日米地域間交流協会の役員会開催の風景。丸ビルで朝から議題に添って粛々と進められた。今年から活発に活動を開始するとの役員の励まし、どれだけお手伝いできるか、不安は残るが青少年の交流に、NY陶芸にがんばっていきたい。

丸紅のステーブ・マックイン

今から４５年前丸紅飯田（当時の会社名）に入社して２年目に写真の真ん中の彼が入社してきた。あれからかれこれ半世紀、今彼はテキサスの州都オースチンに一人で住んでいる。近くにはテキサス大学があって若い人達が沢山遊びにきてくれるらしいが、それにしても淋しいだろう。私の後輩チーチャンと彼の宿泊先横浜ニューグランドホテルにお訪ねした。お天気がよくニューグランドの中庭で揃って写真を写したが、彼の容貌はキューバのカストロかミッキー・カーチス、はたまた内田裕也ばりのREONのちょい悪オヤジ風、ポニーテールとアゴヒゲ、これがまた良く似合うんだなぁ。普通サラリーマンが定年になると寝巻き起き巻きのようなスエットで過ごすと聞き及ぶが、彼のおしゃれ具合は一つ間違うと「キザ」になるのにね、と私たち二人の合致した意見、「若いときからあんなに素敵だった？」と点数が高いのだ。ニューグランドでお茶をしてから、中華街に行ってこのメニューの選び方も「何てスマートなの？」感心しきり。まず、私たち二人に好きなものを一品ずつ選ばせて、それから彼が「あわびのクリーム煮と北京ダックを・・」これは私たちが遠慮しないように、女心をくすぐる。なんでもさりげなくなんです。お食事が終ったら「これから二人に見せたいところがある」とタクシーで岸根の森林公園に。ここは横浜の桜の名所で、それはそれは美しかった。３人で芝生に座って昔話に花が咲いたが、間違っても来年桜を見ながら「去年は３人でここで桜を楽しんだのに・・・残念だね、一緒に見れなくて」なんてことにならないよう元気でいましょうねと励ましあった。その後タクシーで元町まで行き、彼が気になっていたお茶屋さんに行って九州の八女茶を楽しんで再会を誓ってお別れした。チーチャンと帰りのみなと未来線にのるやいなや、「何故、彼があんなにスマートなんだろう、アメリカに住んでいるだけじゃないよね。彼のもって生まれたキャラクターとその後の彼の人生であんなにも魅力的になったんだろうか」と渋谷に着くまで話題が途切れなかった。彼はNY駐在が二回、カサブランカ、オースチンと２０年以上海外生活をしたけど、ただ、海外生活をしただけじゃない”何かが”あるんだな。初めてのNYの時は元主人の部下だったので同じ頃NYのホワイト・ストーンブリッジの近くに住んでいて、研一がMITの学生でよく一緒にバーベキューなどした思い出話に花が咲く長い長い友達だ。元々私が２０歳のころ当時丸紅は大手町ビルにあり、彼は野毛に住んでいて横浜駅の湘南電車のホームで「君、丸紅だろう、一緒に行こう」とナンパしてきたんですよ。それから毎朝東京駅でコーヒーを飲んでから会社に行っていた仲なんだけど、今思うとけっこうトッポカッタので警戒していたんだなぁ。彼は茶色が好きでいつも茶のスーツを着ていたので、今回その話になって「よく覚えているなぁ」と言われてしまったが、こうしていい友達って宝物なの。もうこの年になると男も女もないもの。彼は丸紅のステーブ・マックインと呼ばれていたがそういえば丸紅のアラン･ドロンもいたなぁ。あの頃、こんな呼び方していたんだ。まさか女性に男性が丸紅のオードリー･ヘップパーンとかイングリッド･バーグマンなんで言ってたりして・・・・そんなこと絶対にないよ。結構泥臭い会社だったから。

スズキ・メソードグランドコンサートとお花見

３０００人の子供たちによるクラッシックコンサートが日本武道館で行われた。桜が７部咲きのお堀を通って続々と子供たちがバイオリンを抱えて武道館へ。大会委員長が昔からの友人なので素晴らしい席を送ってくださった。この弦楽器のコンサートは「世界の夜明けは子供から」という発案者の鈴木シンイチ先生の遺言で亡くなられて１０年目の今年この盛大なコンサートが開かれた。それはそれは素晴らしかった。小さい子供は４歳？位か、こんなに年齢差があるコンサートも珍しい。バイオリン、フルート、チェロ、ピアノに引き続き全科による合奏、３０００人ってものすごい。この子供たちの中から何人音楽家になるのだろう。長い、長い道のりだと思うが今日のコンサートによって子供たちも励みになり、これからのお稽古に力が入るだろう。葉加瀬太郎さんが独奏されて、その後のお話で彼もこのスズキ・メソード出身だそうだ。今日も高円宮妃がいらしていたが、先週もお会いしたなぁ。彼女もコンサートづけなんだ。一枚宴会の写真があるが、夕方コロネット社のお花見宴会に招かれたもの。 市谷亀岡八幡宮で祈祷とお花見と宴会。 趣味を全国規模で展開している元気な会社だ。NYから丸橋先生がいらして、久しぶりにお会いできて楽しいひと時だった。丸橋先生はNYビーズの一人者。

呼吸器不全とは

私ってどうも素直な人間じゃあないらしい。人の死はたいてい呼吸が止まって”死”なんじゃぁなかろうか。昨日亡くなった植木等さんが呼吸器不全で亡くなったと書いてあったが、変だ、呼吸ができなくなる理由、本当の死因は肺気腫らしい。ただ、何度も呼吸器不全と言われると反論したくなるのが私の性格。人間長患いしないで呼吸器が不全になることを願っているが、よく皇室の話題で適応障害という言葉が使われるが、夫婦の間でも友達でも適応障害がでることがあるが、これも不確定な言い回し。どうも納得できないのだが・・・日本人は余り直接的な言い回しは好きではないのですね。

桑田投手の捻挫事故

何度も書いているが私は野球に限らず球技はまったくダメ、というより分らない。以前に横浜球場に行った時お招きいただいた横浜の球団の方の前で相手のホームランに歓声をあげて顰蹙をかったことがある。そんなわけでアメリカに渡った桑田投手の野球について感じたのではなく、昨日の衝突事故で、審判が「私は悪くない」とすかさずコメントしたことに興味があった。彼らは自分の正当性を即座に「言い負かす」決して「I　am sorry」は言わない。”絶対に”彼らのDNAの中には「ごめんなさい」はない。「あんたがその場にいたのが悪い！！！」という姿勢を崩さない。マクドナルドで熱いコーヒーを股に挟んで運転してやけどをしてもマックを訴える人たちだから。桑田投手の”あの”展開をみて「あぁぁ、彼はどうなっちゃうんだろう」と可愛そうになった。彼の今後の選手生命を案じると共に審判の巨漢の口と態度と裁判にまけないでね、とエールを送りたい。

今井屋茶寮

並木通りの三笠会館の前に新しいビルが出来て１階にバレンチノが入っているすてきなビルの４階にこの今井屋茶寮がある。この店はNYのMEGUと新橋の「黄金の舌」の親戚、同じ経営者、同じ仕掛け人今井さんの作品だ。この店は比内鳥をメインに高級？焼き鳥が売りらしい。今日のメンバーはNYの”音羽さん”着物の前田さん、イタリアレストラン経営者のご夫妻とウイーンから一時帰国しているオペラのかおりさんと最後にフランス料理のコックさん、多種、多彩。異業種交流会となったが、これが不思議に話が合うんだなぁ。この仲間にバレエの長谷川さんが怪我の為出席できなかったが、全員揃うと何かお芝居か、講演会ができそうだ。みんな個性的で楽しい人たち。いつまでも続きますように。

古い愛読書

昨夜は力の入ったフィギア・スケートを見てからベットに入ったが、興奮していて中々寝付けなかった。先日本箱を片付けていた時、NYに住んでいた時、どうにも字、それも日本語の字に飢える時、必ず読みなおしていた本を二冊出しておいた。一冊は昭和３４年出版された曽野綾子の「風と夜の結婚」ともう一冊は昭和３９年ごろ初出版された船山馨の「石狩平野」「続石狩平野」だ。何度も読み直しているが、読むたびに新しい発見があり、同じところで涙がでてしまう。昨夜は「風と夜の結婚」を読み直して結局止められなくなり、明け方まで読んでしまった。朝烈しくガラスを叩く雨の音で目が覚めたが、失礼しちゃう。私が昨日猛烈に磨いたガラスなのに。今は便利なところに住んでいるので車を持たない生活をしているが、以前車の生活をしている時、洗車をすると決まって雨が降るというジンクスがあったが、まだその気配が１．５Mのベランダと屋根があるのに、きれいに磨かれたガラスに向かって容赦ない雨が当たって、相変わらずジンクスは破られない。

自由な一日って・・・

白楽の人たちから「来なくっていい」と言われて今日は「さて、何をしょう」いくら考えても貧乏性の私は掃除しか頭に浮かばない。レースのカーテンを洗って、ガラスを磨いてピカピカになった。鼻がスーとする感じ。引越しの時京都の着物屋さんの「きら」さんから頂いた桜の額を掛けて、シーズンの先取りはまず部屋から。書かなくてはいけない原稿もあるのに、こうして一日空いてしまうと原稿書きは頭に浮かばない。こんなに部屋を掃除しても、よく働いても誰も誉めてはくれないのに、そうそう夏物のアイロンかけも山ほどかけた。９時からはフィギャー･スケートをどきどきしながら見て疲れた。

スペイン音楽の夕べ＆アーツJクラフツ展

昨夜はネパールの心身障害児童学校の支援コンサートで紀尾井ホールへ。高円宮妃をお招きしての可なり力の入ったコンサートだったが、オペラ、ピアノ、バイオリン、スパニッシュ・ダンスと盛り沢山過ぎて、少しだれたなぁ。国立音大卒の井ノ上了史さんのテノールは聴き応えがあってよかった。グラナダ出身のピアニストJuan　Gallego　Coin ピアノで少し長いとは思ったが心地よかった。

写真は今日箱根の彫刻の森クラブでアーツJクラフツ展が開催され、この会の役員？を仰せつかっているので、表彰式に参加した。ニットの広瀬さんが審査員の華を添えていた。彼は存在そのものが、美しくその上とても愛想がよく、素敵な方。物腰の柔らかさとお仕事柄女性の扱いが上手。心地よいクラフト展だった。参加者４００人以上だったそうだが、ビーズ、ラッピング、押し花、キルト、など全国から参加で今日のパーティも盛り上がっていた。初めて箱根登山鉄道に乗ったがまどろっこしくて、私には向かないが、東京から彫刻の森まで３時間だ。温泉にでも入ってくるつもりで出掛けたが、桜の花も全く咲いていないし、まだ枯れ木ばかりであと２週間くらいかなぁ、桜が咲くのは・・・・帰宅してから聖路加のプール＆サウナでくつろいでしまったが、いつもの友達が来ていて何となくこの方が落ち着くのよね。明日の白楽行きは母と妹が風邪のため「うつるといけないから来なくていいのよ」と言われてしまった。珍しく自習の土曜日になりそうだ。