横浜へ行く時など1時間、面白い小説を読んでいると瞬く間に着いてしまう。その反対に持って出た書物がつまらなかったら長い、長い時間を我慢しなくてはならない。私は原稿を電車で書くのが好きだけど。ひざに小さめのノートを広げ書き始めると止まらない。年に数冊三島由紀夫の小説を読む。ただ、今回読んだ彼の作品「午後の曳舟」は凄い文章、あまりにきれいな文章、例えば・・・”彼女の肩は海岸線のようになだらかに左右へ下がり、頚筋や腕はほのかに日焼けがしていたが、胸もとからは、内側から灯したように温かい白さの、薄くあぶらの乗った、無染の領域がはじまっていた・・・・これが一行に書かれている。以前に読んだ”春の雪”もすごくきれいな文章でした。天才の文章をマネできませんが、時として感動して声に出して読んでしまいます。三島由紀夫さんはご自分の才能が辛かったのではないでしょうか。彼の文章の美しさに感動してしまいました。たった1行に込められた表現は想像するだけでなく絵まで描けてしまうのでは?と錯覚するほど美しい文章です。
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