天才ピアニストにして天才作曲家だったセルゲイ・ラフマニノフの映画を観てきた。数ヶ月前からホテル・西洋銀座のテアトルシネマにポスターが貼ってあり、暗そうだなぁ。だけど彼の人生も興味があった。名曲を生み出すために苦悩する天才ラフマニノフと彼を支え続けた妻ナターシャの献身的な愛を描いているが、聞きなれないロシア語が辛いだろうなぁと思っていたが、全編に流れるピアノの音とライラックの花の香りが立ち込めてくるような美しい画面。1920年頃、彼の先生のお宅に下宿するのだが、その時のゲストはチャイコフスキーだ。まるでお伽話の世界ですが、ラフマニノフは生まれ故郷のロシアを追われ、アメリカに亡命し、活躍の場はほとんどアメリカになる。今でいうマネージャーがピアノメーカーのシュタインウエイからの回し者で、彼をとことん働かせる。望郷の念と募る思いを込めて交響曲を捧げた年上のアンナ、革命に燃えるマリアンナ(彼女にロシア革命のとき脱出を助けてもらう)女性遍歴も相当なものだったが、あのような曲を作り出すという天才は多少生活破綻者でも仕方がないか。カーネギー・ホールでのコンサートの際、彼が有名になり、それを聴きに来ていたロシア大使に「彼らがきていると弾けない」と舞台を降りてしまうシーンは息詰まる圧巻のシーン。あの頃カーネギー・ホールに行くのに男性はタキシード、女性はイブニングドレスだったのですね。私はカーネギー・ホールの隣に住んでいたことがあり、その時は8時少し前にその日のキャンセルを買って聴いていたので、たいてい普段着でした。古き良き時代でしたら、ドレスコードで白い目で見られたか摘み出されたでしょう。余談ですが、カーネギー・ホールの杮落としのコンダクターはチャイコフスキーが振ったと言われています。ロスで居を構えて3人の娘の父親になるのですが、あのような天才は普通の生活を望んでは家族が可哀想でした。画面からにおうような紫と白のライラックがきれいで素晴らしいロシア映画に出会えました。
余談ですが、暗い、マニアックな映画なので空いているだろうと14:30分のを観るつもりで2時少し前にチケットを買いに行ったら満席でした。次の4時45分のを買い求めて一度家に帰ってきました。世の中にはマニアックな人が多いのでしょうか。劇場も小さいですが・・・・
写真はホテル西洋銀座の前に咲いていたポピーです。日本橋から1キロという標識を見つけました。
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