敗戦記念日を明日に控えて「紙屋悦子の青春」という映画を岩波ホールで観た。まず岩波ホールという映画館、マイナーな映画をするところで有名だが、私はこのような映画が大好き。小泉首相が明日靖国神社に参るか否かが問題になっているが、今日のような映画を見ると誰が祭られていても、お参りしたくなる。敗戦の色濃い昭和20年の春、鹿児島の田舎町で二人の若者が美しく純朴な娘に恋をした。彼らの青春は切ないほどに優しく哀しく戦争に翻弄された人々の運命が描かれている。5人しか出演していない静かな映画だが、あの時代に生きた人たちの苦しいばかりの息使いが感じられて、泣きに泣いた。ただ、物語ゆえに生き残った2人より沖縄で海の藻屑に散った青年の方が素敵に見えるのは戦争というマジックか。2人の青年になるのは永瀬正敏、松岡俊介、永瀬が生き残って昔を語るのだが・・・・この映画の監督は最近亡くなられた黒木和雄と言う人。沢山名作を監督していたらしい。このようなマイナーな映画には不思議と1人で来ている人ばかり、余り連れがいないのが特徴だ。一人黙々と観て涙して静かに帰った。
コメント