「夜の蝶」って今はいなくなってしまったが、勿論その紛い物はいますが、最近の銀座はその片鱗もなくなってしまいました。作詞家、小説家として名をはせたクラブ「姫」のママ山口洋子さんの回顧録に書かれている「おそめ」のママの記。”息をのむような美しさ銀座全盛時代の超一流の夜の蝶は京人形のような物哀しいはかなさと高級感のあるため息が出るような美しさだ”と言わしめた。誰もが「あんな風になれない」と。ただ、やり手というのではない、はかなげな姿に政治家、財界人、文士、画家、映画関係、新聞記者、編集者、いずれも各界のトップばかりが連なった銀座の店だったそうだ。エスポワールは大昔連れて行ってもらったことがあるが、ここのママ川辺るみこさんはおそめさんとは正反対の女性で闘志丸出しの気の強そうな女性だったと記憶している。「おや、あなた私と同席できるの?」と冷ややかな態度ではあったが、おそめには対抗していてその対比を面白がる有名人がたくさんいた面白い時代だったのです。それにしても最近の銀座の「夜の蝶」は何と落ちぶれたのでしょうか。銀座で食事を済ませて帰ろうとする時間銀座のクラブのおねえちゃんが”客引き”をしている姿に出会います。それも安物スリップのような姿で・・・昭和40年代の銀座を思うと寂し風情です。
エスポワールの川辺ママは鉄火肌で、すっきりしていた人情家、おそめさんは何処までも清楚で、柔らかで、優しくて、というのが当時銀座で働いていた人達の言葉だったそうだ。こんなシーソーのような華やかな銀座、懐かしいなぁ。
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