先ほど旧軽井沢を散歩していたら、またまた警官の数が多く、やじうまの私は「何かあったのですか?」の質問をしました。何と東京からご一緒だった天皇皇后両陛下がお帰りになるので、その警備だそうです。私みたいに庶民はこの際名刺の整理をしたり、アドレス帳を書き直したり、本を読んだり、スーパーつるやに行ったり、料理をしたり、フラフープをしているのに両陛下はご静養にもかかわらず、あちこちご訪問されていたようです。本当に大変ですね、雅子さまはご幼少のころから外国で過ごしていて自由に生活しただろうことを思うと、あのような群衆に囲まれてご病気が治るどころか、悪化するのでは?お気の毒で・・・今報道されている状態を何となく理解できる。
この間少し古いですが、三島由紀夫の「夜会服」を読みました。私は三島由紀夫さんの文章が好きで、時々読み返しています。この「夜会服」という小説は・・・今も昔も変わらぬ嫁姑の戦いのようなものですが、面白かったです。若くして小説家になった彼はちっとも時代を感じません。イギリス英語を皮肉って一語一語語尾を長く引く英国風の長広舌につかまった、というくだりがあるが、私も英国人の英語はわかりません。
文中面白いのは嫁姑の話です。主役の嫁絢子とその姑の一人息子俊男が初めて二人で華麗なーティーに出る主人が着るタキシード姿を眺めるシーン。大体日本人でタキシードが似合う人は少なく、英国人の見事な白髪の老人などが、バラ色頬をして、長身痩躯鶴の如く、毎夜着なれたディナー・ジャケットで佇んでいる有様は、日本人が逆立ちしても及びもつかない。日本人の9割9分まではブラック・タイの招待など受ける機会があるはずもない。赤ん坊のヨダレかけだって、必要あればこそ似つかわしく見えるので、40男が必用もなしにヨダレかけをかけていたら、どんな風に見えるか。すべてが彼の体からくる健康でいてどこかメランコリックな風情にぴったりしていて、純白の折襟からすくっと立てた首と頭部の誇らしい美しさは、サラブレッドの名馬をみるようだった・・・てな具合で、美しい文章だからどんな青年と結婚したのか、文章だけでも想像できてしまいます。自分の主人がタキシード姿で出かける様を描写したものです。さしあたって今の俳優に例えたら誰でしょうか。少し違うかもしれないが、若いころの佐藤浩市あたりはどうでしょう。
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